小津安二郎の映画音楽

小津安二郎は映画音楽に対し、独特の考え方を持っていました。その鍵を握る人物、作曲家斎藤高順の作品と生涯についてご紹介します。

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彼岸花 写真館

珍しいものが出てきました。

一見、出演者のスナップ写真かな?と思い期待しましたが、よく見ると松竹のマークが入っています。

映画館で販売されていたものなのか?よく分かりません。

広告用、宣材用の写真なんだと思いますが、出演者の皆さんの表情が何とも魅力的です。

男性の出演者は、皆さん故人になってしまいました。


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左から佐分利信、渡辺文雄、桑野みゆき、久我美子、有馬稲子、小津安二郎監督、山本富士子、田中絹代、佐田啓二、笠智衆

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佐田啓二、有馬稲子

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有馬稲子

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佐分利信、山本富士子

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久我美子、佐分利信

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久我美子、渡辺文雄、佐分利信

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桑野みゆき、田中絹代、有馬稲子、佐分利信

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佐分利信、笠智衆

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佐分利信、中村伸郎、北竜二

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佐分利信、笠智衆、菅原通済、北竜二、江川宇礼雄

(お詫び…後列右端、同窓生役の方のお名前を失念しました。思い出したら更新しておきます。)

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秋刀魚の味


岩下志麻 笠智衆

秋刀魚の味は、小津安二郎第54作目の監督作品である。
1962年(昭和37年)に公開され、小津自身は59歳であった。

野田記――「小早川家の秋」を宝塚で撮影中、早く次回作の題名を決めてほしいと、しきりに松竹から催促され、取敢えず「秋刀魚の味」とは決めたものの、腹案は何もなく、ただ、秋刀魚を画面に出すようなことはせず、全体の感じをそういうことにしようという気持だけであった。
いよいよシナリオにかかるころ、五社長会議というのがあり、では他社の俳優を借りないで、大船の人たちとフリーの人たちだけでやろうということになって、加東大介さんだけを東宝から借りることにした。
このシナリオの執筆中、小津君のお母さんが他界されたが、その葬送も終って再び蓼科へ来た時の日記に小津君はこう書いている。
「もう下界はらんまんの春、りょうらんのさくら。此処にいてさんまんのぼくは『さんまの味』に思いわずらう。さくらはぼろのごとく憂鬱にして、酒はせんぶりのごとくはらわたににがい」
(引用:「野田記」)

■ストーリー
初老の会社員平山は、学生時代からの友人河合や堀江と酒を呑むのが楽しみだった。
堀江は娘のような若い妻をもらったが、平山は妻に先立たれて以来独身を通していた。
長男の幸一はすでに結婚して家を出たので、今は次男の和夫と長女の路子と三人暮らしだ。
河合と堀江からは、早く路子の結婚相手を見つけてやるように促されていたが、平山はなかなか娘を手放す気にはなれなかった。
だが、同窓会で久々に再会した恩師佐久間(ひょうたん)の姿を見て、考えを改めるようになった。
佐久間も早くに妻を亡くし、娘の伴子と小さなラーメン屋をやっているが、とうとう伴子を結婚させてやれなかったと悔やんでいたのだ。
このままでは、自分たちも佐久間父娘と同じ道を辿ってしまう。
そう考えた平山は、路子に早く結婚するべきだと進言する。
はじめは不審に思う路子だったが、路子も結婚願望がないわけではなかった。
実は、路子は幸一の後輩三浦豊に密かに思いを寄せていたのだ。
平山から相談を受けた幸一は、早速三浦にそれとなく聞いてみたが、少し前に別な女性と婚約したばかりだった。
それを聞いても気丈に振舞う路子だったが、落胆ぶりは隠しようがなかった。
しばらくして、河合の妻が紹介してくれた相手との縁談話が上手くまとまり、路子は結婚することになった。
路子は平山のもとから巣立って行った。
結婚式のあと、平山はバー「かおる」で酒を呑んで寂しさを紛らわそうとした。
「かおる」のマダムは、どこか死んだ妻の面影を感じさせるところがあった。
やっと肩の荷が下りた平山だったが、結婚式というよりもまるで葬式の帰りのような心持ちだった。
娘のいない生活は、初老の平山にとって何とも虚しいものだった。

笠智衆・・・平山周平
岩下志麻・・・平山路子
三上真一郎・・・平山和夫
佐田啓二・・・平山幸一
岡田茉莉子・・・平山秋子
中村伸郎・・・河合秀三
三宅邦子・・・河合のぶ子
北龍二・・・堀江晋
環三千世・・・堀江タマ子
東野英治郎・・・佐久間清太郎
杉村春子・・・佐久間伴子
吉田輝雄・・・三浦豊
加東大介・・・坂本芳太郎
岸田今日子・・・「かおる」のマダム
高橋とよ・・・「若松」の女将
菅原通済・・・菅井
織田政雄・・・渡辺
浅茅しのぶ・・・佐々木洋子
牧紀子・・・田口房子
須賀不二男・・・酔客


【参考文献】
『小津安二郎 新発見』 講談社
『小津安二郎 映画の詩学』 青土社
『小津安二郎 映画読本』 フィルムアート社
『小津安二郎 東京物語』 リブロポート
『キネマ旬報 別冊 小津安二郎 人と芸術』
『キネマ旬報 臨時増刊 小津と語る』
『キネマ旬報 ベストテン全史 1946-2002』

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小早川家の秋


原節子 森繁久弥 加東大介

小早川家の秋は、小津安二郎第53作目の監督作品である。
1961年(昭和36年)に公開され、小津自身は58歳であった。

野田記――蓼科での日記に小津君はこう託している。
「昭和三十六年、二月上浣より蓼科にこもりて『小早川家の秋』のシナリオを案ず。
乍暗乍曇、日々春暖に向ふ。
常に比して客少なければ酩酊高唱乱舞に至らず。
ために仕事大いに進みて四月二十一日脱稿をみたり」――
これは東宝の宝塚作品で、撮影は中井朝一氏。
スタッフは全部東宝系の人たちで、大船からは一人もつれていかなかったが、みんながほんとうによく働いてくれると大へん喜んでいた。
ストーリーのヒントは、よく蓼科へ遊びにきていた或る女の子の父親が突然心筋梗塞で倒れ、息子や娘たちが緊張して集まったところ、一夜にしてケロリと癒ったという事実に基づいたものだった。
(引用:「野田記」)

■ストーリー
造り酒屋を営む小早川万兵衛はずいぶん前に妻を亡くし、今では仕事を長女文子の亭主久夫に任せ、自身は悠々自適の暮らしを送っていた。
長男は家業を嫌って大学教授になったが、妻の秋子と幼い息子を残して病気で死んだ。
他には、適齢期を迎えた末娘の紀子がいた。
最近、万兵衛は頻繁に外出するようになり、不審に思った番頭の山口は、店員の丸山を使って尾行させた。
しかし尾行は失敗し、万兵衛は素人旅館「佐々木」の中へ姿を消してしまった。
「佐々木」の女将つねは万兵衛の昔の愛人で、百合子という年頃の娘と暮らしていた。
万兵衛は、毎日のようにつねと百合子のところを訪れ、それを知った文子に激しく非難された。
そんなことはお構いなしの万兵衛だが、妻の法事には家族皆で京都嵐山まで行って食事会をするなど、家族思いの一面も見せるのだった。
ところが、その夜家に戻った万兵衛は、突然心臓の発作を起こし倒れてしまう。
医者は今夜が峠だと言い、病状を聞いた親族が続々と東京や大阪から万兵衛の元へ駆けつけた。
しかし、奇跡的に一命をとりとめた万兵衛は、また性懲りもなくつねの元に通いはじめるのだった。
万兵衛はつねと二人で競輪を楽しんだが、その晩つねの家で再び心臓の発作を起こし、そのまま帰らぬ人となった。
万兵衛の葬式に小早川家一同が集まった。
小早川家は、万兵衛という一家の大黒柱を失い一気に傾きはじめた。
紀子は、会社の同僚で札幌へ転勤した寺本の元へ行く決心をした。
一方、秋子は再婚はせず、息子と二人で生きていくつもりだった。
こうして、小早川家は火葬場の煙のように秋の空高く霧消していくようであった。

中村鴈治郎・・・小早川万兵衛
原節子・・・小早川秋子
小林桂樹・・・小早川久夫
新珠三千代・・・小早川文子
島津雅彦・・・小早川正夫
司葉子・・・小早川紀子
白川由美・・・中西多佳子
宝田明・・・寺本忠
浪花千栄子・・・佐々木つね
団令子・・・佐々木百合子
杉村春子・・・加藤しげ
加東大介・・・北川弥之助
東郷晴子・・・北川照子
森繁久彌・・・磯村英一郎
山茶花究・・・山口信吉
藤木悠・・・丸山六太郎
笠智衆・・・農夫


【参考文献】
『小津安二郎 新発見』 講談社
『小津安二郎 映画の詩学』 青土社
『小津安二郎 映画読本』 フィルムアート社
『小津安二郎 東京物語』 リブロポート
『キネマ旬報 別冊 小津安二郎 人と芸術』
『キネマ旬報 臨時増刊 小津と語る』
『キネマ旬報 ベストテン全史 1946-2002』

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秋日和


原節子 司葉子

秋日和は、小津安二郎第52作目の監督作品である。
1960年(昭和35年)に公開され、小津自身は57歳であった。
晩年、「自作を語る」の中では、次のように述べていた。

「世の中は、ごく簡単なことでも、みんながよってたかって複雑にしている。
複雑に見えても、人生の本質と言うものは、案外何でもないことかもしれない。
これを狙ったのが今度の作品です。
それと、これは前々から考え、少しずつやっていたことだが、一つのドラマを感情で現わすのはやさしい。
泣いたり笑ったり、そうすれば悲しい気持、うれしい気持を観客に伝えることができる。
しかし、これでは単に説明であって、いくら感情に訴えても、その人の性格や風格は現わせないのではないか。
劇的なものを全部取り去り、泣かさないで悲しみの風格を出す。
劇的な起伏を描かないで、人生を感じさせる。
こういう演出を全面的にやってみた。
「戸田家の兄妹」の頃から考えていたんです。
しかし難しい方法でね、今度もまあまあの出来ですが、完全には行っていませんね。」
(引用:「自作を語る」)

■ストーリー
三輪秋子の夫が亡くなって7年が過ぎた。
七回忌には、娘のアヤ子の他、亡夫の友人だった間宮、平山、田口の3人が集まった。
友人たちは、学生時代には秋子に憧れていたが、今は美しく成長し適齢期を迎えたアヤ子の結婚相手を探そうとしていた。
間宮は、会社の部下後藤をアヤ子のお見合い相手にどうかと考えていた。
しかし、アヤ子は母を一人残して結婚する気にはなれなかった。
そこで、友人たちはアヤ子の心配を取り除くには、まず秋子が再婚を決めてしまうのが手っ取り早いのではないかと考えた。
そして、妻に先立たれ男やもめになった平山が、再婚相手の候補に挙がった。
もちろん、秋子に再婚する意思などないが、この話を耳にしたアヤ子は母が父の友人と再婚するものと早合点してしまう。
このことが原因で、秋子とアヤ子の間に諍いが生じてしまった。
アヤ子は友人の佐々木百合子に相談し、母の再婚話の真相を確かめてもらった。
実は、秋子本人も知らない話で、田口らが勝手に仕組んだことだと知った百合子は、凄い剣幕で田口、間宮、平山のところへ怒鳴り込んで行った。
誤解の解けた母娘は仲直りした。
二人は休暇を取って、伊香保の温泉旅館へ行った。
その夜秋子は、自分はこれからも再婚はせず、亡き夫の思い出とともに一人で生きていく、とアヤ子に伝えた。
アヤ子は後藤に嫁ぐ決心がついた。
そして、アヤ子と後藤の結婚式も無事に済み、秋子は誰もいないアパートへ戻った。
アヤ子のいなくなった部屋は寂しかったが、秋子は娘の幸せを祈りながら静かに眠りについた。

原節子・・・三輪秋子
司葉子・・・三輪アヤ子
笠智衆・・・三輪周吉
佐田啓二・・・後藤庄太郎
佐分利信・・・間宮宗一
沢村貞子・・・間宮文子
桑野みゆき・・・間宮路子
島津雅彦・・・間宮忠雄
中村伸郎・・・田口秀三
三宅邦子・・・田口信子
田代百合子・・・田口洋子
設楽幸嗣・・・田口和男
北龍二・・・平山精一郎
三上真一郎・・・平山幸一
岡田茉莉子・・・佐々木百合子
岩下志麻・・・受付の女性社員


【参考文献】
『小津安二郎 新発見』 講談社
『小津安二郎 映画の詩学』 青土社
『小津安二郎 映画読本』 フィルムアート社
『小津安二郎 東京物語』 リブロポート
『キネマ旬報 別冊 小津安二郎 人と芸術』
『キネマ旬報 臨時増刊 小津と語る』
『キネマ旬報 ベストテン全史 1946-2002』

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浮草


若尾文子 中村鴈治朗 川口浩 杉村春子

浮草は、小津安二郎第51作目の監督作品である。
1959年(昭和34年)に公開され、小津自身は56歳であった。
晩年、「自作を語る」の中では、次のように述べていた。

「大映で一本撮ってくれという話は、溝口さんが生きておられた頃からあったんです。
その後、永田さんからも屡々依頼されていたんだが、ぼくは松竹と一年一本の契約を結んでいる。
その一本で、たいてい一年が終ってしまう。
丁度この年は「お早よう」が早くあがり、もう一本大映でつくるだけの時間ができた。
それで年来の約束を果したわけです。
このストーリーは、無声時代に一度とったことがある。
それをもう一度、北陸の雪の中でやってみたくて、「大根役者」というシナリオを書き、松竹でつくるつもりだったんだが、この年は雪が浅く、高田へ行っても佐渡へ行っても、ぜんぜん絵にならない。
一時中止していた作品ですが、これを季節や舞台を変えて書きなおし、大映でやったわけです。
テーマは、まあ、もののあわれというか、古風な話で、時代は現代だが、明治ものの古さをもっている。
じゃあ明治ものにしたらよさそうなものだが、かと言って明治にする必然性もない。
それに時代を過去にさかのぼらせると時代考証その他でたいへんだ。
結局古いストーリーを現代に生かしたと言うことになりますね。
カメラマンの宮川一夫さんがいろいろ苦心してくれて、ぼくもこの頃からようやくカラーがわかりはじめた。
色はその種類によってちがった光量をあてなければいけないと言うことね。
目で見た色とフィルムに写る色とは違うということ。
だから二つの色のコントラストを狙っても、同じ光量をあてたら一方が死んでしまう。
そんな時はどちらかを影にして色をおさえてしまう。
――こんなことをはじめて知りました。
また、だんだんシネマスコープが一般化してきた。
ぼくは大型映画をつくるつもりは全くないが、やはりこれに対抗して少しずつ意識的に演出手法を変えはじめた。
もちろん変えると言っても、一度にグンと変るものではない。
少しずつ、気がつかないうちに変って来る。
たとえばクロース・アップが多くなり、カットも細かくなった。
最近のぼくの映画は日本映画としては最高のカット数じゃあないかと思う。」
(引用:「自作を語る」)

■ストーリー
南紀の小さな港町に、嵐駒十郎率いる旅芸人の一座がやってきた。
一座の看板女優すみ子と駒十郎の仲は誰もが知っていた。
すみ子には、なぜこんな小さな田舎町に立ち寄るのかがわからなかった。
実は、この町には駒十郎が若い頃愛した女お芳と、お芳との間にできた子の清が住んでいるのだ。
清も今では郵便局に勤めていると聞き、安心する駒十郎だった。
駒十郎は、清と釣りをしたり将棋を指したりして、わずかな父子の時間を楽しんだ。
だが、お芳は駒十郎が実の父親であることを清には明かしていなかった。
すみ子は、駒十郎とお芳母子の関係に気付き、嫉妬心から何とか復讐してやろうと企てた。
そこで、すみ子は一座の妹分加代をそそのかして、清を誘惑してくれと頼んだ。
思惑通り、真面目な清は加代に夢中になるが、逢引を重ねるうち加代の方も清に惹かれてしまった。
二人の仲はすぐに駒十郎に知られてしまい、激怒した駒十郎はすみ子を呼んで殴りつけた。
一方、豪雨の影響もあり客の入りが悪かった上、一座の吉之助が興行収入を持ち逃げしてしまう。
悪いことが重なり、駒十郎は一座を解散する以外に方法がなかった。
衣裳や小道具を処分して作ったわずかな金で、駒十郎は一座の連中と別れの宴を開いた。
駒十郎は、このまま役者稼業に見切りをつけ、ここでお芳と清と静かに暮らすことを望んでいた。
しかし、清は加代と家を出たまま、夜になっても帰ってこなかった。
二人の仲を認めてもらおうと戻ってきた清と加代だったが、怒って加代を殴りつけた駒十郎は、加代をかばう清に突き飛ばされてしまった。
止めに入ったお芳は、清に駒十郎が本当は父親であることを告げた。
だが、今さら清にはそんな事実など受け入れる気はなかった。
最愛の息子にまで背を向けられた駒十郎は、再び旅に出る決心がついた。
行くあてのなくなった駒十郎は、ひと気のない駅へと向かった。
そこには、同じく行き先を失ったすみ子がいた。
二人は桑名行きの切符を買い、静かに町を後にした。

中村鴈治郎・・・嵐駒十郎
京マチ子・・・すみ子
若尾文子・・・加代
浦辺粂子・・・しげ
三井弘次・・・吉之助
潮万太郎・・・仙太郎
伊達正・・・扇升
島津雅彦・・・正夫
田中春男・・・矢太蔵
中田勉・・・亀之助
花布辰男・・・六三郎
藤村善秋・・・長太郎
丸井太郎・・・庄吉
入江洋佑・・・杉山
星ひかる・・・木村
杉村春子・・・本間お芳
川口浩・・・本間清
笠智衆・・・相生座の旦那
野添ひとみ・・・小川軒のあい子
宮島健一・・・あい子の父親
高橋とよ・・・あい子の母親
佐々木正時・・・梅の家の親爺
桜むつ子・・・梅の家のおかつ
賀原夏子・・・梅の家の八重
丸山修・・・小屋の男徳造
杉田康・・・船着場の係
志保京助・・・郵便局員両角
酒井三郎・・・爺さんの客
松村若代・・・姿さんの客
三角八郎・・・船員
南方伸夫・・・小川軒の客


【参考文献】
『小津安二郎 新発見』 講談社
『小津安二郎 映画の詩学』 青土社
『小津安二郎 映画読本』 フィルムアート社
『小津安二郎 東京物語』 リブロポート
『キネマ旬報 別冊 小津安二郎 人と芸術』
『キネマ旬報 臨時増刊 小津と語る』
『キネマ旬報 ベストテン全史 1946-2002』

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お早よう


島津雅彦 笠智衆 設楽幸嗣 三宅邦子

お早ようは、小津安二郎第50作目の監督作品である。
1959年(昭和34年)に公開され、小津自身は56歳であった。
晩年、「自作を語る」の中では、次のように述べていた。

「このストーリーはずいぶん昔からあっためていたものです。
人間同士というのは、つまらないことばかりいつも言っているが、いざ大切なことを話し合おうとするとなかなかできない。
そんな映画をとってみたかった。
ところが、これはいざ撮ろうとするとなかなか難しい。
監督協会なんかに行って、このストーリーを話すと、みんな面白いと言う。
じゃあ、誰にでも譲るよ、といっても一寸手が出せない。
そこで、やっぱりぼくがやってみよう、とつくった。
もっとも昔考えていたストーリーはもっと渋いものでね。
ただ、こっちも年をとると、興行的な面を考えるので、なるべく笑ってもらえるような映画につくり変えた。
興行的配慮というより、多くの人々に見てもらいたいためと言った方がいいな。」
(引用:「自作を語る」)

■ストーリー
東京郊外を流れる大きな川の堤防近くに小さな住宅街がある。
ここでは、噂話の好きな奥さん連中やいたずら盛りの子どもたちがにぎやかに暮らしていた。
近頃、子どもたちの間ではおでこを指で押すとおならをするという品のない遊びが流行っており、上手におならを出すことが自慢の種になっていた。
林家は、夫の啓太郎と妻の民子、中学一年の実と次男の勇、それに民子の妹有田節子の五人家族である。
林家にはテレビがなかったが、実と勇は他の子供たちと同様テレビに興味津々だった。
大相撲の中継が始まると、この辺で唯一テレビを持っている丸山家に入り浸りになってしまい、まるで勉強をしないのだ。
民子はそんな実と勇を叱るが、子供たちは「それならテレビを買ってくれ」と反抗した。
啓太郎は怒って、「子供は余計なことを言うな、少し黙っていろ」と怒鳴った。
子どもたちは、それならば父親の言いつけどおり何を言われても一切口を利かないことにした。
近所の人と顔を合わせても挨拶もしなければ、学校で先生に質問されても沈黙を貫き通す徹底ぶりだ。
しかし、母親におやつを要求することもできなくなり、腹が減った二人は家からおひつを持ち出し、堤防の上で食べようとしているところを巡査に見つかってしまう。
あわてて逃げ出した二人は、そのまま行方がわからなくなってしまった。
心配した節子が、子どもたちに英語を教えている福井平一郎にも協力してもらい、ようやく駅前でテレビを見ている二人を見つけ出した。
家へ戻った二人は、そこにテレビがあるのを見て飛び上がって喜んだ。
どうやら、定年を迎えてセールスマンになった近所の富沢から月賦で買わされたものらしい。
やっと口を利くようになった二人は、上機嫌で再びおなら遊びを始めるのだった。

笠智衆・・・林啓太郎
三宅邦子・・・林民子
設楽幸嗣・・・林実
島津雅彦・・・林勇
久我美子・・・有田節子
三好栄子・・・原田みつ江
田中春男・・・原田辰造
杉村春子・・・原田きく江
白田肇・・・原田幸造
竹田浩一・・・大久保善之助
高橋とよ・・・大久保しげ
藤木満寿夫・・・大久保善一
東野英治郎・・・富沢汎
長岡輝子・・・富沢とよ子
大泉滉・・・丸山明
泉京子・・・丸山みどり
佐田啓二・・・福井平一郎
沢村貞子・・・福井加代子
須賀不二男・・・伊藤先生
殿山泰司・・・押売りの男
佐竹明夫・・・防犯ベルの男
桜むつ子・・・おでん屋の女房
菅原通済・・・客・通さん


【参考文献】
『小津安二郎 新発見』 講談社
『小津安二郎 映画の詩学』 青土社
『小津安二郎 映画読本』 フィルムアート社
『小津安二郎 東京物語』 リブロポート
『キネマ旬報 別冊 小津安二郎 人と芸術』
『キネマ旬報 臨時増刊 小津と語る』
『キネマ旬報 ベストテン全史 1946-2002』

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彼岸花


有馬稲子 山本富士子 久我美子

彼岸花は、小津安二郎第49作目の監督作品である。
1958年(昭和33年)に公開され、小津自身は55歳であった。
晩年、「自作を語る」の中では、次のように述べていた。

「はじめてのカラー映画だし、山本富士子さんを使うことでもあり何か派手な喜劇にしようと思ってつくった。
もっともぼくは、別にカラーでやるつもりはなかった。
会社が山本さんだからカラーにしてくれというので、やったまでです。」
(引用:「自作を語る」)

■ストーリー
商社で取締役をしている平山渉は、妻の清子、長女の節子、次女の久子の4人で暮らしている。
ある日、平山の会社に谷口正彦という青年が訪ねてきた。
谷口は、唐突に節子との結婚を認めてほしいと言ってきた。
何でも広島への転勤が決まっており、その前に結婚式を挙げたいというのだ。
呆気にとられた平山は、少し考えさせてほしいと言って谷口を帰らせた。
家へ帰った平山は、さっそく節子に事の真相を問いただしたが、節子ははっきりとしたことを話したがらない。
腹を立てた平山は、断固として谷口との結婚は認めないと明言するのだった。
今度は、中学時代からの親友三上が平山の会社を訪ねてきた。
三上にも文子という適齢期の娘がいたが、長沼一郎という男と同棲しており、銀座のバーに勤めているらしいという。
三上は自分が行くわけにはいかないので、代わりに平山に様子を探ってきてほしいと頼みに来たのだった。
平山は、仕方なく部下の近藤と銀座のバーへ行ってみた。
文子に話を聞いてみると、何でも自分の思い通りにしようとする三上の考え方に反発しており、長沼とのことも真剣に考えていることがわかった。
まるで自分と節子のことを聞いているようだったが、友人の娘には極めて客観的な助言をする平山だった。
ところが、自分の娘のこととなると全く聞く耳を持たず、頑固な父親になってしまうのだ。
そこへ、京都から姪の幸子が平山のところへやってきた。
幸子は、母親が強引にお見合いの話を決めてしまい、納得できずに家出してきたという。
平山はここでも物分りの良い顔をし、結婚は当人同士の問題なのだから自分の好きにすれば良いとアドバイスをする。
しかし、これは節子と幸子が事前に話し合って仕組んだ芝居だった。
平山は、節子にも同じことを言わなければならなくなり、谷口とのことも認めざるを得なくなってしまった。
その後、二人の結婚話は順調に進んだが、本心からは納得していない平山は式にも披露宴にも出ないと意地を張り続けた。
谷口と節子は、転勤先の広島へと旅立った。
平山は、愛知で中学の同窓会に参加したあと、京都の幸子と母初のもとを訪ねた。
そこで平山は幸子から、「父が最後まで笑顔を見せてくれなかったことが心残りだった。」と節子が話していたと聞かされた。
自分のせいで娘に可哀想な思いをさせてしまったと気付いた平山は、幸子と初に促されて節子に会うため広島行きの汽車に乗った。

佐分利信・・・平山渉
田中絹代・・・平山清子
有馬稲子・・・平山節子
桑野みゆき・・・平山久子
佐田啓二・・・谷口正彦
浪花千栄子・・・佐々木初
山本富士子・・・佐々木幸子
中村伸郎・・・河合利彦
清川晶子・・・河合伴子
北竜二・・・堀江平之助
笠智衆・・・三上周吉
久我美子・・・三上文子
高橋貞二・・・近藤庄太郎
桜むつ子・・・女給アケミ
渡辺文雄・・・長沼一郎
高橋とよ・・・若松の女将
十朱久雄・・・曽我良造
長岡輝子・・・派出婦富沢
菅原通済・・・同窓生菅井
江川宇礼雄・・・同窓生中西
橘一枝・・・女中お松


【参考文献】
『小津安二郎 新発見』 講談社
『小津安二郎 映画の詩学』 青土社
『小津安二郎 映画読本』 フィルムアート社
『小津安二郎 東京物語』 リブロポート
『キネマ旬報 別冊 小津安二郎 人と芸術』
『キネマ旬報 臨時増刊 小津と語る』
『キネマ旬報 ベストテン全史 1946-2002』

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東京暮色


有馬稲子 原節子

東京暮色は、小津安二郎第48作目の監督作品である。
1957年(昭和32年)に公開され、小津自身は54歳であった。
晩年、「自作を語る」の中では、次のように述べていた。

「これは若い女の子の無軌道ぶりを描いた作品だと言われるが、ぼくとしてはむしろ笠さんの人生――妻に逃げられた夫が、どう暮して行くかという、古い世代の方に中心をおいてつくったんです。
若い世代は、いわばその引き立て役なのだが、どうも一般の人々はその飾りものの方に目がうつってしまったようです。」
(引用:「自作を語る」)

■ストーリー
初老の銀行員杉山周吉は、末の娘がまだ幼い頃妻に逃げられた。
その後、長男を山の事故で亡くし、長女の孝子は結婚したので、次女の明子とふたりでひっそりと暮らしていた。
明子は木村憲二という年下の男と付き合っており、最近は帰りも遅く生活が乱れがちだった。
周吉は心配したが、母親の愛情を知らずに育った明子のことが不憫だった。
そんな矢先、孝子が夫の沼田康雄とうまくいかず、幼い娘を連れて実家へ戻ってきた。
明子の方は、木村の子を妊娠していることがわかり、そのことで木村と話がしたいのだが、木村は逃げ回ってばかりいた。
木村の誠意のない態度に失望した明子は、ひそかに中絶手術を受ける。
孝子は、明子が出入りしている麻雀屋に実の母親らしき人がいるという話を耳にした。
孝子が確かめに行くと、確かに母親の喜久子だった。
明子には母親は幼いときに死んだことになっているが、本当は周吉と子供たちを捨てて別な男のもとへ走ったのだった。
孝子は、母親の汚れた過去を明子には知って欲しくなかった。
しかし、明子は事実を知ってしまう。
明子は、母が自分たちを捨てたように、自分も生れてくるはずの子供の命まで捨ててしまった・・・。
自分にも母と同じ穢れた血が流れているのだ、と言って嘆いた。
母への失望、木村への怒り、そして将来への希望を失った明子は、自暴自棄になって電車に飛び込んだ。
明子の葬儀のあと、孝子は喜久子のもとを訪れ、明子がこうなったのは母が自分たちを捨てたせいだと言って母を責めた。
喜久子は、娘の言葉を重く受け止めた。
孝子は、自分の娘にはこんな悲しい思いはさせたくないと考え、沼田ともう一度やり直す決心をするのだった。
そして、周吉はとうとうひとりになってしまった。
深い孤独感を胸に秘め、周吉は今日も仕事へ向かった。

笠智衆・・・杉山周吉
有馬稲子・・・杉山明子
信欣三・・・沼田康雄
原節子・・・沼田孝子
森教子・・・沼田道子
中村伸郎・・・相島栄
山田五十鈴・・・相島喜久子
杉村春子・・・竹内重子
山村聡・・・関口積
田浦正巳・・・木村憲二
須賀不二男・・・富田三郎
高橋貞二・・・川口登
長谷部朋香・・・松下昌太郎
山本和子・・・前川やす子
菅原通済・・・菅井の旦那
藤原釜足・・・下村義平
三好栄子・・・女医笠原
宮口精二・・・刑事和田


【参考文献】
『小津安二郎 新発見』 講談社
『小津安二郎 映画の詩学』 青土社
『小津安二郎 映画読本』 フィルムアート社
『小津安二郎 東京物語』 リブロポート
『キネマ旬報 別冊 小津安二郎 人と芸術』
『キネマ旬報 臨時増刊 小津と語る』
『キネマ旬報 ベストテン全史 1946-2002』

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早春


岸恵子 須賀不二夫 高橋貞二 池辺良

早春は、小津安二郎第47作目の監督作品である。
1956年(昭和31年)に公開され、小津自身は53歳であった。
晩年、「自作を語る」の中では、次のように述べていた。

「久方振りに取り上げたサラリーマンもので、会社員の生活を描いて見たかった。
大学から社会に出た喜び、会社につとめた時の希望が、だんだん崩れ、三十年つとめてもたいしたことにはならない。
会社員生活を世代の変化からとらえ、そこにサラリーマンの悲哀のようなものが出せればと思ってね。
戦後の作品では一番長尺ですよ。
しかしぼくとしては、なるべく劇的なものを避け、何でもないシーンを積み重ねて、見終ったあとサラリーマンの生きる悲しみが感じられるようにつくったつもりなんだが。」
(引用:「自作を語る」)

■ストーリー
杉山正二と昌子は結婚して8年程になるが、子供を病気で亡くしてから二人きりで暮らしていた。
二人は倦怠期を迎えており、昌子は絶えず正二に不満を感じていた。
正二は、蒲田から東京まで電車通勤するサラリーマンだが、毎朝同じ電車に乗って通勤する仲間がいた。
近頃では、すっかり仲良くなった通勤仲間たちと、仕事帰りに麻雀やパチンコをするのが日常化していた。
一方の昌子は寂しさを紛らわすため、五反田でおでん屋をやっている母しげの店を訪れては、正二のことで愚痴をこぼしたりしていた。
ある日曜日、正二は通勤仲間たちと江ノ島へ遊びに出かけた。
その頃から、正二は仲間の一人キンギョ(金子千代)と急速に親しくなり、ついに一夜を共に過ごしてしまう。
正二とキンギョの関係は仲間たちに知られてしまい、キンギョは仲間から責められた。
そのことを正二に訴えるため、キンギョは杉山家へやってきた。
正二と昌子の間に険悪な空気が漂い、昌子は家から出て行ってしまう。
妻との関係は悪化し、仲間たちからは冷たい目で見られ、すっかり四面楚歌に陥った正二に、岡山への転勤話が持ち上がった。
昌子は学生の頃の友人富永栄のアパートにおり、今後のことについて話し合っていた。
正二は、昌子との関係を修復できないまま、単身岡山の工場へ赴任した。
ある日、正二が工場から部屋に戻ると、そこには昌子が待っていた。
二人は、お互いに至らなかった点を詫び、もう一度やり直そうと誓い合うのだった。

池部良・・・杉山正二
淡島千景・・・杉山昌子
浦辺粂子・・・北川しげ
田浦正巳・・・北川幸一
宮口精二・・・田村精一郎
杉村春子・・・田村たま子
岸恵子・・・金子千代=キンギョ
高橋貞二・・・青木大造
藤乃高子・・・青木テルミ
笠智衆・・・小野寺喜一
中北千枝子・・・富永栄
山村聡・・・河合豊
三宅邦子・・・河合雪子
増田順二・・・三浦勇三
長岡輝子・・・母さと
東野英治郎・・・服部東吉
須賀不二男・・・田辺
加東大介・・・坂本
菅原通済・・・管井のツーさん


【参考文献】
『小津安二郎 新発見』 講談社
『小津安二郎 映画の詩学』 青土社
『小津安二郎 映画読本』 フィルムアート社
『小津安二郎 東京物語』 リブロポート
『キネマ旬報 別冊 小津安二郎 人と芸術』
『キネマ旬報 臨時増刊 小津と語る』
『キネマ旬報 ベストテン全史 1946-2002』

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東京物語


山村聡 原節子 杉村春子 香川京子

東京物語は、小津安二郎第46作目の監督作品である。
1953年(昭和28年)に公開され、小津自身は50歳であった。
晩年、「自作を語る」の中では、次のように述べていた。

「親と子の生長を通じて、日本の家族制度がどう崩壊するかを描いてみたんだ。
ぼくの映画の中ではメロドラマの傾向が一番強い作品です。」
(引用:「自作を語る」)

■ストーリー
広島県尾道で暮らす平山周吉と妻のとみは、久しぶりに東京に住む子供たちを訪ねてみることにした。
学校の教師をしている末娘の京子に留守を任せて、二人は汽車に乗って東京へ向かった。
最初に向かった先は、長男幸一の所だった。
幸一は医者をしているが、休日でも診療が忙しくて、とても両親の相手をしている暇などなかった。
周吉ととみは、今度は長女の志げが経営する美容院を訪ねてみた。
ところが、ここでも志げと夫の庫造は仕事に追われ、忙しくて両親をもてなす余裕はなかった。
わざわざ尾道から出て来たというのに、まるで子供たちから相手にされず寂しい思いをする周吉ととみだった。
そんな二人を慰めてくれたのは、戦死した次男の嫁紀子だった。
紀子は、翌日会社を休んで二人を東京見物に案内し、夜は自分のアパートで心からもてなしてくれた。
一方、両親の世話が面倒な幸一と志げは、お金を出し合って両親を熱海の粗末な旅館へ宿泊してもらうことにした。
早速、熱海へと向かった周吉ととみだったが、旅館は夜になると騒々しくて、とても年寄りがゆっくりくつろげるような場所ではなかった。
二人は、翌日には早々に旅館を後にして、志げの美容院へ戻ってきてしまった。
しかし、志げに迷惑がられてしまい、二人は行き先がなくなってしまうのだった。
周吉は、東京にいる旧友と久しぶりに再会し、酒を酌み交わし旧交を温めることになった。
とみは、再び紀子のアパートに泊めてもらうことにした。
紀子は嫌な顔ひとつ見せず、とみを心から歓待してくれた。
紀子のやさしさに心を打たれたとみは、もう死んだ次男のことは早く忘れて、再婚して幸せになって欲しいと紀子に告げるのだった。
周吉ととみは、子供たちに歓迎されはしなかったけれど、久しぶりに元気な顔を見られただけで満足だった。
二人は、翌日の列車で尾道へ帰っていった。
ところが、それから何日も経たないうちに、とみが危篤との電報が子供たちに届いた。
子供たちが尾道の実家に到着した翌朝早く、とみは息を引き取った。
葬儀が終わると、幸一と志げはそそくさと東京へ帰っていった。
紀子だけが、しばらく尾道に残り色々と面倒を見てくれた。
京子は兄や姉たちの冷たい態度に憤慨したが、紀子は幸一や志げの生き方にも理解を示し、決して責めるようなことはしなかった。
紀子が東京へ帰る日がきた。
周吉は、東京では自分たち夫婦に本当によくしてくれたと感謝した。
そして、紀子の将来を案じて再婚を勧めた。
紀子は本当は自分も寂しさや不安感でいっぱいであることを涙ながらに話した。
周吉は、とみの形見の時計を紀子に渡した。
紀子は列車の中で、周吉からもらった時計をながめながら感慨に耽った。

笠智衆・・・平山周吉
東山千栄子・・・平山とみ
原節子・・・平山紀子
山村聡・・・平山幸一
三宅邦子・・・平山文子
毛利充宏・・・平山勇
杉村春子・・・金子志げ
村瀬禪・・・平山実
中村伸郎・・・金子庫造
大坂志郎・・・平山敬三
香川京子・・・平山京子
十朱久雄・・・服部修
長岡輝子・・・服部よね
東野英治郎・・・沼田三平
高橋豊子・・・隣家の細君


【参考文献】
『小津安二郎 新発見』 講談社
『小津安二郎 映画の詩学』 青土社
『小津安二郎 映画読本』 フィルムアート社
『小津安二郎 東京物語』 リブロポート
『キネマ旬報 別冊 小津安二郎 人と芸術』
『キネマ旬報 臨時増刊 小津と語る』
『キネマ旬報 ベストテン全史 1946-2002』

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